猫屋春子はかく語りき

CAT AND SPRING

唯一無二とは容姿のことではない

前回、ドラマ「高嶺の花」に出ている千葉雄大のファンタジック要素について書いた。

nekoharu.hatenablog.com
千葉雄大と峯田和信の存在が「高嶺の花」に軽さとポップさを与えていると記事の中で書いたけど、今回は峯田のことについて書こうと思う。

このドラマの峯田については、結構前にこのブログで書いたはず。その記事は以下。

nekoharu.hatenablog.com

峯田の容姿についていろいろ批判されているというニュースやらが多いってなことから、10代の使う「キモイ」についてちょっと考えてみた記事。

でも今回は、峯田和信について書きたい。彼は俳優ではないけれど、これまで数々の映画やドラマに出演してきた。そのかいあってか、演技、めちゃくちゃ上手くなったなあというのが感想。このドラマの中ではセリフの多い役ではないけれど、ちょっとしたセリフも上手になった。(もし峯田の最初の演技が見たい人は、「アイデン&ティティ」という、みうらじゅん原作の漫画を田口トモロヲが監督した映画があるので是非。面白いけど、峯田の演技は下手とかそういう次元に無い)


Iden & Tity


また、やっぱ峯田は唯一無二の存在だと思わせられた。ゴイステ、銀杏BOYZのピークを知っている人は峯田のカリスマ性をご存知だろう。ご存知の人はきっと知っているだろう、すんげー歌は下手くそなのに心をガッと持っていかれる、あの感じ。同時期に、同じようなことを歌って、同じようなライブパフォーマンスをしていたバンドは数多くあれど、その中でも峯田はやっぱ唯一無二の存在というか。

銀杏のメンバーが峯田を残して去り、「ああ、もう駄目なのかな」と思っていたけれど、いや、やっぱ峯田は峯田だし、峯田でしかないかと、このドラマを見て確認できた。あの頃と同じようなライブパフォーマンスはもう見られないだろうけど、峯田は形を変えて、でも芯は同じままでドラマや舞台を通じてパフォーマンスをし続けている。峯田は峯田で、峯田以外ではない。


NHK 奇跡の人 エンディング


峯田の良さは、いい意味で軽さとポップさにあると私は思っている。あの軽さとポップさに救われてきた人は多いだろう。深刻なことも言う、重い話もする、だけど次の瞬間笑っていたり、下ネタを言っていたり、最終的にどん底にはまることを峯田は阻止する。だって逃げ道のないことや不自由なことは、人を不幸せにするから。

そんな存在感が、このドラマではとても活きている。窮屈な華道の世界に生きる石原さとみに逃げ道を与えるチャリンコ屋の役。そして同じ町内で生きる同級生や恩師の面々。そして峯田の言葉を助けとして日本一周に出る中学生。

この中学生に峯田が送るラインの言葉がまた泣けるんだなあ。他の人が言っても泣けないのよ、なんか峯田だから泣けるのよ。

「君は怒りよりも悲しみを選んだ。悲しくなったら寂しくなり、寂しくなったら、美しくなる」

峯田にしかできない役、というより役をモノにしていった峯田というべきだろう。以前、峯田が「ボーイズ・オン・ザ・ラン」という映画に出演した時のこと、ロッキンオンジャパンの編集者が峯田に「あの映画を私物化してしまっている」「あの映画は君だけのものではない」と文句のようなことを言ったことがあったが、んー、だけどきっと、才能とかスターってそういうもんなんだよ。容姿が悪くても良くても、スターはスターなのよ。唯一無二ってそういうことなのよ。その人が作品に出れば、その人の作品になっちゃうものなのよ。


銀杏BOYZ - ボーイズ・オン・ザ・ラン(PV)