猫屋春子はかく語りき

CAT AND SPRING

正月とバウムクーヘン


Fujifabric- バウムクーヘン

 

正月の三日間は何もしなかった。

 

一日は何もしなかった。

二日は何もしなかった。

三日は何もしなかった。

 

何もしなかった。

 

バウムクーヘンは二日に食べた。

米粉でできたバウムクーヘンは初めてだった。

小麦粉でできたものより食感が軽く

とても美味しかった。

 

二日は雨が降っていた。

神社へお参りに行った帰りに

買ったのは米粉バウムクーヘンだった。

 

お店に入るとき

傘を閉じて、雨のしずくをはらった。

そのうち自動ドアが開いて

私達とほかのお客さん数名が

店の中へと消えた。

 

雨が降っていたから

憂鬱な気持ちになるということはなかった。

気持ちはずっと淡々としていて

何もしていない三日間はずっと淡々としていた。

バウムクーヘンを食べて美味しかったし

淡々としていた。

 

店から出て、また傘をさした。

雨が降り続いていたから

「靴も濡れてしまったね」

正月なのに、どうしてかひどく暖かくて

毛糸の帽子は必要なかったのに。

 

四等分にしたうちの二切れをまずは食べて

夕食後に残りの二切れを食べて

バウムクーヘンは二日のうちになくなった。

 

夜がきて、自然と私達は沈黙。

少しだけ口の中に

「らふらんすの香りが残っていたからさ」

 

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