猫屋春子はかく語りき

CAT AND SPRING

後悔で夜も眠れぬ

新型コロナの流行により、日本全国が自粛生活を強いられている。今月14日に一部地域を残して自粛はいくらか緩和されたけれど、第二波を恐れて自粛生活を続けている人も少なくないだろう。

自分もその1人だ。自粛が緩和されてからも遠出は控え、人が集中する場所を避けている。外出する際は必ずマスクをつけ、スーパーに入店する際はアルコールで手をもみ、帰宅後はすぐにキレイキレイで手をよく洗う。スマホは一日一回除菌シートで念入りに拭き、届いた荷物も除菌シートで段ボールを拭いてから中を開ける。

仕事は現在していない。3月末に短期派遣の仕事が終わり、本来なら4月中頃からまた仕事を始めようと思っていたのだが、このコロナ禍である。とりあえず5月末頃までは様子を見るかと考えた。そのため無職生活が1ヵ月以上続いており、とにかく暇である。次の仕事のつなぎで在宅ワークの仕事に応募するも不合格。そしてやる気をなくして、いまココにいる。

さて、人間、暇になるとろくでもないことを考え始めるのが常であり、いまの自分も例外なくその病に陥っている。ちなみにいま考えているろくでもないことは過去のことで、思い返しては「あの時に戻れたら、あんな選択はしない」という激しい後悔の念に襲われている。もしあの時に、あれを選択しなければ、その後、あんなことは起きないし、あんな人とも出会わなくて済んだのに。こんな感じである。

他には、過去に自分がどれだけいろんな人に嫌われてきたかという証拠を思い出しては、心を暗くしている。もっと好かれるように、どうして生きることができなかったのか。若いころは、嫌われてもいいから、この道を貫くのだ!という勢いで生きていた。しかし人間40を過ぎると、そんな勢いはすでに無い。なるべく嫌われないように行動し、人間関係に波風をたてぬようにしたい。あるいはなるべく周りに好かれて、居場所を築きたい。しかし好かれるように生きてこなかったせいか、人に好かれるような行動が全くわからない。周りの人を大切にしてこなかったツケが回って来たと言えばその通りで、後悔先に立たずなのだが、それでも後悔せずにはいられないのである。

とにかく暇になると、ろくでもないことを考える。考える必要ゼロの、ろくでもないことを考える。いや、でもよく考えれば、ろくでもないことでもなく、自分の人生において結構大事な後悔なのかもしれない。でも、後悔しすぎて夜も眠れなかったり、自害したくなったりすることに困っているので、出来れば後悔せずにこの暇で退屈な自粛生活を乗り越えたいのである。

ああ、この先後悔しないために、後悔しないように生きることは一体可能なのだろうか。後悔が辛い。タイムトラベルであの時に戻れたらと何度も何度も考えてしまう。今夜はとりわけ、辛い夜だ。


米津玄師 MV「Lemon」