猫屋春子はかく語りき

CAT AND SPRING

キタサンブラックと黒岩さん


171029天皇賞秋 優勝はキタサンブラック! 競馬/ハイライト

昨夜、NHKクローズアップ現代で、競走馬であるキタサンブラックの特集が組まれていた。競馬好きではない人には「なんのことやら」という感じだろうが、「キタサンブラック」は時代に名を残す馬であり、2016年の代表馬に選ばれた。オーナーは北島のサブちゃん。騎手は武豊。今までのところ重賞で9勝、そのうちG1では6勝している。とにかくスゴイんである。たしか天皇賞(秋)の優勝パーティーをしている映像が流され、いろいろな人が出席していた。その中で、キタサンブラックの調教をしている黒岩さんという騎手が、サブちゃんに感謝の言葉をもらっていた。

黒岩さんは、今は障害レースや調教の騎手をしているが、元は芝やダートを走る一般の騎手だった。しかし、20歳のときに落馬して以降、感覚を取り戻すことができず、良い馬も回ってこなくなり、それでも馬に乗りたいということで、今では頭を下げて障害レースや調教の馬の乗せてもらっているそうだ。キタサンブラックは、その黒岩さんに調教されて、メキメキ頭角を現した。重賞などのレースで一回乗るだけの騎手よりも、調教の騎手はその馬にずっと寄り添い、どう走るべきかを教え込むらしい。だから、レースでは走らなくても、その馬のことを一番理解しているのは調教の騎手なのである。

黒岩さんの場合は、その馬がものすごく強くなり、重賞を9勝もするほどに成長した。キタサンブラックというのは、血筋的にディープインパクトの兄ブラックタイドの子であるから、ディープ産駒ほど期待はされなかった、というか全然期待されていなかった。その馬が、どうしてかディープ産駒よりも強くなったんである。20歳で落馬してから、ほそぼそとではあるが騎手を続けてきて、黒岩さんにとってはこんなに嬉しいことはないだろうなあと思う、反面、ものすごく悔しくもあるだろう。自分はレースには出られないし、勝つのは自分ではないから。

サブちゃんから賞賛される黒岩さんを見て、そして相方から黒岩さんの話を聞いて思う(黒岩さんに関する情報は相方が教えてくれた)。黒岩さんの騎手人生は、勝つとか負けるとか、成功するとか失敗するとか、そんな単純な物差しでは測れない。一人の人生をみるとき、そんな物差しは必要ない。自分が自分の人生にとって、どう生きればこの人生はより良くなるのか。それを考え続けながら生きることは、見かけ上の勝利や成功することより、もっと大切なことだ。他人から見れば敗者のように見えるだろう、その努力は、確実に人生に輝きを与える。単純に帰しては駄目だ。アナタの人生を単純な物差しで測りたいか?単純になど返せない様々な状況や想いを、どの人生も抱えているに違いない