猫屋春子はかく語りき

CAT AND SPRING

映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」を鑑賞してみた

リップヴァンウィンクル・・・キーボードで書くと長いですな。スマホで書くと嫌気が刺して、略して「リプヴァン」とか書いてしまいそうなほど長いくて面倒でごわす。


『リップヴァンウィンクルの花嫁』予告編


この映画、監督の岩井俊二がCMの撮影で初対面した黒木華にインスピレーションを受けて書いた小説「リップヴァンウィンクルの花嫁」がもとになっているのだそうで。映画版の主役ももちろん黒木華で、That's 黒木華による黒木華のための映画です。だから黒木華が苦手な人には少し辛い映画かもしれない。

かくいう私も、黒木華ちゃんはあまり得意な女優さんではない。なんだか見ていると、鼻の穴がむずむずする感じ。わかりますか。そしておそらく岩井監督も黒木華に対して同じような印象を抱いたのかもしれない。

というのは映画冒頭、高校で臨時教員をしている黒木華の声がたいそう小さいことから、生徒たちにマイクを用意される場面が出てきます。明らかに馬鹿にされているわけですが、それに対して怒りを露わにすることなく、オズオズとマイクを少し使ってみちゃったりする黒木華。この辺りで鼻の穴のむずむずがワタクシ、最高潮に達します。

しかし冒頭のシーンは鼻の穴がむずむずする黒木華のキャラクターなしでは成立しないものだし、そのむずむずするキャラクターこそが主人公のキャラクターにダブっているのです。つまり黒木華もむずむずならば、主人公のななみも私の鼻の穴をむずむずさせる。むずむずの止まらない映画でした。


映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』予告編2


さて、むずむずはさておき。「リップヴァンウィンクルの花嫁」は簡単に言うとミステリーファンタジーです。いや、ファンタジーミステリーかな?まあ、とにかくミステリーでファンタジー綾野剛演じるアムロとの出会いから、不可思議な出来事が主人公の周囲にいろいろ起きます。それによって結婚したばかりなのに離婚することになり、主人公は新居を出ていくことになります。

でも一番不思議なのは、自分の言葉でちゃんと説明したり、警察に行ったりすれば、ある程度の厄介ごとは回避することができる場面でも、主人公のななみはそうしないこと。自分の言葉ではっきり説明することはなく、ただただ状況に流されていくんです。そして困った時にはいつもアムロが表れて、バイトを紹介してくれたり、助けてくれたりする。その時点でアムロが怪しいと気づくようなものですが、ななみは全く気付かず、むしろ良い人だと思っているフシがあります。

その日もアムロは突然現れて、ななみに月100万円の仕事を紹介するのです。宿泊しているホテルでのバイトが板についてきたところでしたが、アムロの勢いに負けて仕事を引き受けることにします。ななみが受けたお仕事は、大きなお屋敷での住み込みメイド。そして、そのお屋敷にいたのはなんと・・・!


"A Bride for Rip Van Winkle" US Theatrical Trailer


気になった方は是非「リップヴァンウィンクルの花嫁」を見てみてください。答えを言ってしまうと(言うんかい)、お屋敷の所有者は、Cocco演じるましろという女性なんですけどね。映画の後半は、このましろとななみの2人に物語がフィーチャーしていきます。「花とアリス」の世界観が好きな人なら、きっと気に入るのではないかな。鼻の穴はむずむずしながらも、女2人の独特な世界観が嫌いではありませんでした。Coccoの演技も良かったし、後半はかなり面白かったです。

ちなみに「リップヴァンウィンクル」というのは、アーヴィングの短編小説だそうです。内容は日本で言うところの、浦島太郎のような寓話なのだとか。それを知ってからみると、映画がより面白く観られるかもしれません。