猫屋春子はかく語りき

CAT AND SPRING

「新垣結衣」考

ドラマ「獣になれない私たち」の視聴率が落ちているらしい。うーん、面白いけどな。ネットでの評判を見ると「イライラする」って声が多い。自分の会社と重なって見えたり、はっきりと断れない主人公の態度なんかにイライラしてしまうのかな。わかんないでもないけどね。

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でも、このドラマ、私は個人的におすすめしたい。新垣結衣が好きな人にはとくに。何故なら、これまでの明るくて可愛い元気の良いガッキーではなく、女優「新垣結衣」が楽しめるからだ。

「獣になれない私たち」は、新垣結衣による新垣結衣のためのドラマである。「可愛いだけの女優」などと揶揄されてきたガッキーが、このドラマの中では可愛さを封印している。それどころか「キモイ」「嫌い」と言われたり、会社ではボロ雑巾のように扱われたり、可愛さも裏目に出たりする。可愛くてはつらつとした女の子「ガッキー」ではなく、三十路の階段を上りはじめた大人の女性「新垣結衣」がそこにはいる。

新垣結衣には抗えない可愛さがある。その昔「リーガルハイ」で共演した堺雅人に「どの角度から見てもカワイイ」と言わしめたほどの可愛さだ。でも、以下の記事からは、新垣結衣自身がその可愛さや元気で明るい女の子というイメージに悩まされてきたことがわかる。

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誰しも自分の内面と、他人が持つ勝手な自分のイメージとのギャップに悩まされることはあるだろう。その例に漏れず、新垣結衣もまた見た目の華やかさや明るさと、大人しくて根暗な内面とのギャップに悩んできた。

だからこそ考える。もしかしたら「獣になれない私たち」のような物語を、新垣結衣は内心喜んでいるのではないか、と。今まで悩まされてきた、元気で明るいイメージで演じる必要はないのである。等身大の自分で演じられるドラマがやっと来た、と。可愛い笑顔の裏に存在する努力や成長を、やっと見せられるドラマに出会えたのだ、と。


新垣結衣✕松田龍平 11年ぶりに共演


彼女の努力や成長というのは、もちろん演技についてである。これまで、そのあまりの可愛さに新垣結衣の演技力に注目してこなかった人は多いだろう。しかし、彼女は演技が上手いと私は思っている。彼女の演技はナチュラル過ぎるというより、不自然さを嫌うと言った方がいいか。物語より前に出ることはなく、他の演者より強くて個性的な演技はしない。つまり卒がないんである。

ただ、その可愛さゆえに今まで女優としての力量を正当に評価されてこなかったし、新垣結衣の可愛さに頼るような作品に出ることが多かったように思う。でも今作は違う。女優としての新垣結衣の力量を問うドラマであり、新垣結衣の可愛さが裏目に出ることを上手に物語に組み込んでいる。まあ、それでも十分可愛いガッキーなんだけどね。

そんな風に考えると、このドラマを見る視点が変わってきやしないだろうか?(え?変わらない??) 「獣になれない私たち」は、新垣結衣が本格的な女優として一歩を踏み出した記念すべきドラマになるかもしれない。

「可愛いだけの女優じゃねえ!!!!!」

このドラマを演じながら、新垣結衣が内心そう叫んでいるようで、私はそれを痛快に思う。


あいみょん - 今夜このまま【OFFICIAL MUSIC VIDEO】