猫屋春子はかく語りき

CAT AND SPRING

「夜王子と月の姫」ブーム

昨日、何気なく聴いていたラジオから、どこぞの女性が歌う「夜王子と月の姫」が流れてきて、気づいたら涙を流しながら聴き入っていた。ビビった。すげー良かった。そのラジオのMCはキャイーンの天野くんだったのだけど、天野くんも「すげーいい曲!」と興奮していた。それほど、曲のアレンジと声が素晴らしい世界観を作り出していた。

「夜王子と月の姫」は2002年に発売されたGoing Steadyの名曲である。その後、ゴイステは解散。「夜王子と月の姫」はゴイステのメンバーだった峯田とアビちゃん、村井にギターのチン中村を加えて結成された銀杏ボーイズのアルバム「Door」の1曲として、アレンジを変えて再び集録された。そして銀杏もメンバーが相次いで脱退し、2013年末には峯田1人となる。「きれいなひとりぼっちたち」は2016年に発売された銀杏ボーイズのトリビュートアルバムだ。曾我部恵一はその中で「夜王子と月の姫」を歌った。


夜王子と月の姫


最初に発売された「夜王子と月の姫」も名作なら、銀杏ボーイズにアレンジされて再録されたものも名作である。曾我部恵一の「夜王子と月の姫」ももちろん名作だ。そして昨日聴いた若い女性が歌う「夜王子と月の姫」も名作中の名作。つまり「夜王子と月の姫」は誰が歌っても名作なのだろう。そういうことなのだろう。


08 夜王子と月の姫 / 曽我部恵一


私は昨日聴いた若い女性の歌声を思い出し、スマホのアップルミュージックで検索をかけた。そして昨夜、見つけましたよ。昨日、感銘を受けたのはコレです。BiSHに所属するセントチヒロ・チッチの「夜王子と月の姫」だったのです。


セントチヒロ・チッチ (BiSH) / 夜王子と月の姫 [OFFiCiAL ViDEO]

元々Bishっていい歌うたうなーと思っていたけど、こんなに歌唱力が高かったとは驚き。このシングルに収録されているもう1つの曲があるんだけど、そちらは同じくBishのアイナ・ジ・エンドが担当。「きえないで」という曲なのだけど、こちらも歌唱力が高い上に彼女自身が作った曲らしい。Bish侮れない…と思った昨夜なのであります。ちなみにアイナ・ジ・エンドの「きえないで」も貼っておきます。


アイナ・ジ・エンド (BiSH) / きえないで [OFFiCiAL ViDEO]


というわけで、毎日誰かの「夜王子と月の姫」を聴いている。私は今「夜王子と月の姫」ブームなのである。もう15年以上前の歌だけど、全く色あせないなあと思う。何度聴いても、誰が歌うのを聴いても、とても美しい楽曲だ。そしてとんでもなく切なくて寂しい。ゴイステや銀杏は1990年代後半から2000年代を代表する青春パンクバンドだけど、青春パンクという言葉だけでは片づけられない力がこの歌にはあると思う。青春の一時期を切り取った曲という評価だけでは、もったいない。