猫屋春子はかく語りき

CAT AND SPRING

くるりの「ソングライン」を君は聴いたか

あー、もうなんか寒い。寒いけど湿気がひどくて窓開ける気もしない。どうしたらいいのかわからん天気の毎日ですわ。

ところで9月14日。いよいよくるりの新アルバムがリリースされる。4年ぶりの新アルバム。もう13日には店頭に並びますので、購入予定の人はGO!いまAppleミュージックでアルバムに収録されている「ソングライン」というタイトルの曲が先行配信されている。

いい。いいです。いい。くるり。とてもいい。

メンバーが2人になって「ワルツを踊れ」のリリース以降、なんつーか私個人にしてみれば、ポンコツソングばかり聴かされたわけですが(「リメンバーミー」や「グローリーデイズ」なんかは世間的には名曲なんだろうけど)、「Liberty&Gravity」を境にやっとくるりが本調子になりつつあるように思う。くるりくるりであるがゆえの「何か」を楽曲の中で取り戻しつつある。


くるり - 琥珀色の街、上海蟹の朝 / Quruli - Amber Colored City, The Morning of The Shanghai Crab (Japanese ver.)


今回の曲のテンポ、オルタナティヴ性、アウェイな感じ、流れる景色のような歌詞。そうだ、私はそんなくるりが大好きだったのだ。売れたいと思うのは誰もが思うことだけど、くるりの曲はそもそも大衆性との相性が良くない。決してポップではないと言っているのではなく、ポップな曲ももちろんあれど、ミスチルやサザンのような誰もに届くようなポップ性は持ち合わせていない。

その代わり、くるりの曲には「その楽器、どっから持ってきたの?」「そこでそのコード使う?」「いきなり転調?」「なんで歌詞が酒くさいの?」などの驚きや発見に満ちている。聴けば聴くほどわからない、でも面白い。面白くて何度も聴く。最近「スルメ曲」とかいう言葉が流行っているようだけど、くるりの曲はまさしくそのスルメ曲(あんまスルメ曲って言葉も好きじゃないけど)。

「雲の切れ間 中途半端な雨を望む虹とビルに映る白い鳥 外は雨の草いきれのグラウンドで 走る少年の帽子を飛ばす風」(BY「ソングライン」の歌詞より)

ああ!まるで景色が目の前に広がるような歌詞だ!くるりの曲には、世間を励ますような歌詞や弱者を鼓舞するような歌詞はない。けれど、日常の風景への愛や興味、発見に満ちている。それはすなわち彼らの日常の一部であり全てである音楽への愛や興味、発見につながっているのだ。


くるり - その線は水平線