猫屋春子はかく語りき

CAT AND SPRING

映画「鎌倉ものがたり」を観てきた


「DESTINY 鎌倉ものがたり」予告

さきほど「鎌倉ものがたり」を観てきた。観てきたホヤホヤである。「三丁目の夕日」を撮った監督の作品だったので、泣かされるんだろうなと思ってハンカチを用意していった。用意して行って間違いではなかったけれど、それほど泣きはしなかった。

kamakura-movie.jp
鎌倉に住み始めた新婚夫婦(堺&高畑)と、そこに住む魔物・幽霊を中心に話は進んでいく。鎌倉では普通の人間と魔物・幽霊が共存しているという設定である。ところどろこのシーンに河童やジブリのコボケのような妖怪みたいなものが出てくるし、居酒屋や夜市でも人間と酒を酌み交わす。映画の核となる世界観はそんな感じ。

映画の見どころは後半、魂が抜けて幽体になってしまったアキコ(高畑)を、夫である一色先生(堺)が黄泉の国まで追いかけるところ。なのだろうけど、西岸涼平の原作をきちんと再現していたのは、新婚生活と魔物や幽霊との交流を描いた前半である。だから、すごくもったいない映画だった。まるでとってつけたような後半だったから。言い方が厳しいけど、魔物のCGも安っぽくて見応えなし。前半では、原作の世界観を大切にしながら鎌倉の街や生活風景を描いていたのに、後半になると一気に対象年齢小学校低学年~中学年という感じになり、映画のテンポも突然速くなる。前半からの流れをぶった切った印象を、後半では受けてしまった。

でも、高畑充希が可愛いから許すのである。この映画の高畑充希は本当に可愛い嫁を演じている。やばい、私は女だが、女の私から見ても可愛いくてヤバい。あと、編集者役で堤真一が登場するのだが、ある理由から魔物に姿を変えることになる。ただ、それがひどく面白い。いつしか堤真一は、日本でも有数のコメディを演じられる俳優さんになっている。死神さん役を演じていた安藤サクラもすごく良い味を出していた。キャスト陣は素晴らしかった。素晴らしかったのだが、素晴らしかっただけに、映画の後半を残念に思う。

たしかにCGを使ったシーンは親子連れなんかには受けるだろうし、ここ数年、ハリーポッターをはじめとした魔法ものも流行っているし、ちょっとファンタジー要素を入れた方が集客が見込めると踏んだのだろう。原作の漫画とは、きっと切り離して考えた方がいいんだろうな。あの映画は、あの映画ということで。だとしたら、原作は読まない方がいい。漫画は漫画、映画は映画なんだ。後半のCGは忘れよう。