漫才もコントも超えて
芸人・和牛のDVD「漫才ライブ2017」を購入した。和牛を「面白い」と認識したのは、何かのネタ番組でまなみちゃんが彼氏である水田くんのためにハンバーグを作るという漫才を観てからである。そして、2017年のМ-1を観てから本格的に「あ、この子ら、面白い」となって、和牛の漫才動画をいろいろと漁り、今回11月に発売された単独ツアーのネタDVDも購入することにした。
和牛 漫才ライブ2017~全国ツアーの密着ドキュメントを添えて~ [DVD]
- 出版社/メーカー: よしもとミュージックエンタテインメント
- 発売日: 2017/11/15
- メディア: DVD
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特別ファンではなくても、是非このDVDを観てみて欲しい。和牛の漫才の中で、私が最も好きなネタ「おネエとデート(ローズとヒヤシンス)」が収録されているのだが、このネタ、ネタ自体がもうヤバいくらい面白くて、最終的に何が面白いのかわからないほどに笑ってしまう。全てが面白い、水田さんの演技も川西さんの演技も、話の流れも。しかし、ただ面白いから好きなわけではない。新しいのである。何が?設定が。さりげなく枠を飛び出しているのである。「枠?そんなもんあったか?」と言わんばかりに簡単に枠を超えていく。だって、演者は2人なのに、4人で合コンする設定なのである。2人で4人を演じるって、もうおかしいでしょ。
しかし実は、DVDを観ると、和牛のネタにはそういうものが多い。演者2人で3人、4人を演じるというネタ。仮に、彼らのネタをコントでやろうとすると、場面転換や衣装替えが必要になってくるし、コントこそ枠組みや設定が重要で、もうそれはコントという枠組みを超えてしまう。だから、あれはやはり漫才で演じるのが正解なのだろう。場面転換や衣装替えなどは、観ている客の想像力に託す。漫才師側で限界は定めない。委ねるのである。
和牛の漫才に、あらかじめ設定された枠組みなんかない。その枠は、話の流れに必要であれば、どんどんどんどん拡大されていく。私が今まで観てきた漫才には、そうした枠組みの存在を感じさせるものなどなかった。和牛の漫才がはじめてではないか、漫才の設定や枠組みを感じさせてくれて、それが簡単に壊されていくのを観たのは。演じている本人たちですら、そのことには気づいていないかもしれない。ちなみに、私の性格は和牛の水田さん演じるボケそっくりです。女の子なのにヤバいだろ。