猫屋春子はかく語りき

CAT AND SPRING

やはり「本」


小沢健二 - 愛し愛されて生きるのさ

ここ数年、それまで読んでいた種類の書物から遠ざかっていた。意識的にでもあるし、無意識的にでもある。でも、最近は、またそうした書物を読み始めようかなと考えている。少しだけ、前のようなエネルギーが自分の中に戻ってきているのかなという感覚を覚える。

ところで、「本」というコンテンツには魅力がある。電子書籍で十分と言う人がいるかもしれないが、その人と私は多分、「本」に対する価値観が異なるのだと思う。たしかに、電子書籍も便利っちゃ便利ですよねー。軽い書物を読むときには、最適かなと思います。

ただ、書物は、軽く読めるものと、自分の知識として所有したいものに分けられるのではないか。そして、自分の知識として所有したいものは、「本」としての物体を所有したい欲が私にはある。頭のなかに書物の全てを入れるのは無理だから、せめて本として物体だけでも所有したい、その知識を。必要なときには取り出して確認したり、線を引いたり、ページの端を折ったりして、自分の気持ちが揺さぶられるとともにマーキングしながら、本を「自分だけの本」にしたい。エゴイスティックですが。

徐々に、前に読んでいた書物に私は戻っていく。いや、戻っていくんじゃないな。新しい気持ちで、それらを読み始める。初めて会ったかのように、新鮮な気持ちで読んでやろうと思っている。仮に、電子書籍で売っていても、私は多分物体としての「本」を買うだろう。