猫屋春子はかく語りき

CAT AND SPRING

適度なパン屋


【マネーの虎】パンしか出さないレストラン 気持ち悪い ベーカリーコンサルタント 29歳 7000万


パンが好きである。パンを含めた小麦粉製品が好きである。
クッキー、ビスケット、パンケーキ、パイ・・・。

小麦の生産地で生まれ育ち、
小麦とパンについて深く考えずとも、
そこらへんにあるパン屋でパンを買えば、
美味いパンが手に入った数年前まで。

数年後のいま。
あの美味いパンが日常的に手に入ったのは、
きっと幻だったんだと嘆く日々を過ごしている。
美味いパン屋の少ない土地では、美味いパンは育たない。
なぜって、美味くないパンを食って、それを参考にパンを作るから。
だから、美味くないパンからは、美味いパンは生まれない。
逆に言えば、美味いパンは美味いパンから生まれるのである。

この地域のパン屋には、共通する最悪の特徴がある。
それは、塩とバター(ないしは油)をフンダンに使うこと。
小麦粉の質の悪さや、味の悪さをごまかすためだろうか。
しかし、それらをフンダンに使うと、
味が濃くなり、パン生地も重くなる。
そして、それを外観だけ洒落た店で、高値で売る。
「珈琲一杯無料です」とか言って、紙コップもくれるのだ。

以前、購入した塩パンからは、一口齧ると、
滴るほどのバターがあふれてきた。
ああ、うんざり、うんざりだ。

こんなに塩とバター(油)を使ったんじゃ、
パンの味がわからんでしょーが!

しかし、こんな私がこの地域に来て、
はじめて認めたいと思えるパン屋と最近出会った。
塩とバターの使い方が適度で、小麦粉の味が本当にいいんでごす。

ただ、そこの店主は、アルバイトさんにモラハラすることで有名らしく、
私と夫のあいだでは「暴力パン屋、略して「暴パン」」と呼ばれている。
あんなに美味しいパンを作るパン屋さんが、暴パン・・・
ショックだけど、よくあることだ。
素晴らしい作品を創る人が、素晴らしい人間性を持っているとは限らない。

最近もその店でアルバイトさんがやめたらしく、
今年に入って数回目の募集をかけている。
しかし、私は通うだろう。
サンドウィッチに使われている角食が、あれほど美味いことを知ってしまったから。
でも、行くたびに「大丈夫だろうか」と、
アルバイトさんの顔を見ては心配になる。
そして、時々、店主の声が焼き場から聞こえてくる。

暴力の奥には、パンに対する慈愛の込められた優しい視線が存在するのかもしれない。

ちなみに、これまで食べたパンの、ベストオブパンは、
サラエボで食べた50円くらいの馬鹿でかいパンである。
なんであんなに小麦粉の香りが良いんだろうか。
いやあ、レベルが違った。

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