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猫屋春子はかく語りき

CAT AND SPRING

テンションは雪で上がる


『アナと雪の女王 MovieNEX』レット・イット・ゴー ~ありのままで~/エルサ(松たか子)<日本語歌詞付 Ver.>

 

雪の少ない地域に住む人は

豪雪や暴風雨のニュースなどを観て

「大変ねえ」と思うのかもしれない。

実際にそのような人から

嫌味か、コラ!と言いたくなるほど

「大変ねえ」と言われたことがある。

 

私は豪雪地帯に生まれ

現在も雪の降る地域に住んでいる。

「まあ、生まれてこのかた、ずっと大変だったのねえ」

と雪の少ない地域の人は思うかもしれない。

 

しかし、ちょっと待って欲しい。

 

豪雪地帯の真冬に生まれた私は

生まれたときから雪に囲まれて暮らしてきた。

したがって、雪のある風景が原風景であり

氷点下が最もしっくりくる気温なのである。

 

そして、それはおそらく私だけではないと思う。

 

豪雪のニュースで良くあるシーン。

地元の人に「大変ですね」なんて言葉をかけると

「いや、参りますよ、この雪には」なんて返事が返ってきたりする。

 

しかし、この返事をそのままの意味で捉えてはならない。

返答した人の表情を、よく見てほしい。

きっと、どこか嬉しそうなはずである。

「参りますよ」なんて言ってるけど

ヤル気まんまんに力がみなぎっているはずである。

少なくとも、私の両親はそうだ。

雪が降るとテンションが上がってくる。

雪かきは面倒だと思いながらも

「お前ら!一掃してやるぜ!!」という戦闘態勢に入る。

 

確かに雪かきは大変だ。

けれど、大変なだけでは実はない。

雪が降る季節は

一年で最もヤル気がみなぎる北国の活動期なのである。

 

だから、吹雪の中を歩いていると

なんとも言えずテンションが上昇してくる。

氷点下近い気温のはずが全く寒くない。

むしろ、ぽかぽか身体が暖かい。

5度や6度のときよりも全然暖かいのだから不思議である。

 

もしかしたらこれは

北国で生まれ育った人間にしかわからないのかもしれないけれど

雪というものは決して大変なだけではないのである。

 

昨年までは雪がほとんど降らない地域に住んでいたので

自分は一体いつ力を漲らせれば良いのかわからなかった。

しかし、今年からは雪のある地域に住んでおり

数日前から降り出した大雪に心を躍らせている。

これから私の一年で最も活動する時期となるであろう。

 

雪をかいてはテンションを上げる。

吹雪の中を鼻歌を歌いながら歩く。

風に舞う雪を窓から眺めて茶をすする。

街灯の下、落ちてゆく美しい雪を見る。

 

雪の季節は大変だ。

しかし、一年で最も心躍る季節であり最も美しい季節でもある。

それは、冬眠している熊や蛙を叩き起こしたいくらいなのだ。