猫屋春子はかく語りき

CAT AND SPRING

ゆっくりと一歩ずつ


愛あればこそ 里見浩太朗 - YouTube

 

夕食を食べ終え、

イオンから送られてきたお歳暮のカタログをパラパラとめくりながら、

なんとなくテレビを観ていた。

里見浩太朗が水戸の街を歩くという番組。

 

最初は、本当になんとなく観ているだけだったが、

そのうち水戸を歩く里見さんに見入ってしまった。

 

肛門様、じゃなかった、黄門様が帰ってきたということで、

「お帰りなさい」と声をかける街の人に、

とても愛想よく、かといってわざとらしさは全くなく、

ごく自然に挨拶をし返す里見さん。

 

撮影の日はきっと暑かったのだろう。

ハンカチで汗を拭き、ジャケットをぬぎ、

息があがっても、疲れた様子は少しも見せない里見さん。

 

いろいろな話をしながら街を歩く里見さんは、

もうすぐ80歳になられるとのこと。

まったくそんな風には見えないし、老人と言うのも憚られる。

きっと気持ちが若いのだ。

 

そんな里見さんが、番組の中でとても良いことを言っていた。

走っていると、周りの風景が見えないから、

ゆっくりと一歩ずつ歩くことを心がけているのだとか。

実際はもっと長い話だったが、かいつまんで言えば、

そのようなことだったと思う。

 

そんな話をしたあと、

里見さんは路肩に咲いていた曼珠沙華を一本へし折り、

その茎を縦にぺキぺキと裂いて、

曼珠沙華の首飾りを楽しそうに作っていた。

へし折られた真っ赤な曼珠沙華の首飾りを、

とても嬉しそうに首にぶらさげる里見さん。

はははははと笑いながら、最終的に作った首飾りは、

スタッフの若い女の子にプレゼントしていた。

 

まるで少年のような里見さんなわけですが、

曼珠沙華、見たことありますか?

またの名を「彼岸花」。

少しおどろおどろしい、大きくて真っ赤な花が「あの世」を想起させる、

そんな花なのですが、

そんな花の首飾りをプレゼントされても、なんだかきっと複雑。

 

スタッフの女の子、家に持って帰ったのだろうか。

・・・いや、ねえな・・・。

 

里見さんの純情な感情は空回りしてしまったのかもしれない。

しかし、それでも、ゆっくりと一歩ずつ、

楽しそうにマイペースで水戸の街を歩く里見さんだった。